人を知る

先輩船員座談会

浜崎海運で活躍する4名に「浜崎海運を選んだ理由」から「内航船勤務のやりがい・大変さ」「船上での生活について」まで、
本音で語り合っていただきました。
ここでしか聞けない、現場のリアルが詰まった濃密な座談会は最後まで必見です!

参加メンバー

  • 馬場 貴章
    2013年新卒入社 / 一等航海士
    清水海上短期大学卒
  • 門﨑 健汰
    2016年中途入社 / 一等機関士
    宇和島水産高校専攻科卒
    別船会社を経て浜崎海運入社
  • 黒瀬 大樹
    2011年中途入社 / 二等航海士
    口之津海上技術学校乗船実習科卒
    別船会社を経て浜崎海運入社
  • 新田 球司
    2022年再入社 / 二等機関士
    口之津海上技術学校乗船実習科卒
    浜崎海運新卒入社後、別船会社を経て再入社

進行役 浜崎 貴司 / 専務取締役

―まずは、みなさんの仕事内容について教えてください。

一等航海士として、荷役責任者をしています。荷役というのは、荷物を陸上に下ろしたり、船に上げたりすることですね。

自分は一等機関士ですので、主に船に搭載されている様々な機器の整備などをしています。

僕は、荷役責任者であるチョッサー(一等航海士)の補佐的な役割を担っています。油を荷役する際、チョッサーの指示を聞いて、バルブの調整などをデッキでみんなに伝える仕事です。また、とも(船の後部・船尾)の配置についたり、作業を決めたりしています。

僕は船の命とも言っていい、エンジンを見守る仕事をしています!

かっこいいね。

(笑)

―では、船乗りになろうと思ったきっかけと、浜崎海運に入社した理由を教えてください。

写真:馬場、門崎が話している様子

もともと家族に船員が多く、高校2年生の夏ごろに父に勧められて船乗りになりました。浜崎海運へは、短大の学生だったときに会社訪問の機会があり、地元企業の浜崎海運に行ったら、そのままとんとん拍子に入社できた感じです。

入社した決定打は、当時の浜崎海運にはアスファルト船(アスファルトタンカー、2019年に海外売船)があったからです!ほかの船に比べて作業が楽だからという理由ですが、あまり良い理由ではありませんね……。

自分も馬場チョッサーと同じで、周りに船員が何人かいたので、船に興味を持ちました。浜崎海運に入ったきっかけは……、学校の先生です(笑)

(笑)

前職も船乗りだったのですが、辞めて3日後くらいに電話をいただき、その先生経由で紹介してもらったのが浜崎海運でした。地元の長崎県の企業でしたし、高校の先輩もいましたので、入社を決めました。

自分の場合は、海上保安官だった祖父に憧れていたので、最初はそれになろうと思ったんですけど、海上保安学校を調べたら頭が良すぎて……。バカな自分には無理だと思い、諦めました(笑) でも、やっぱり海の仕事には就きたいなと思っていたんです。浜崎海運に興味を持ったきっかけは、同級生の友達が浜崎海運で働いていて、人間関係が良い会社だと聞いたので、入社を決めました。乗船期間のマネジメントをしっかりやってくれるのも、理由の一つです。

写真:新田が話している様子

「船員」という仕事は、兄が船乗りになったときに初めて知りました。それに、小さい頃から海の近くに住んでいたので、海の仕事には就きたいなと思っていましたね。

浜崎海運に入社したきっかけは、先輩からの紹介です。いろいろ話を聞くと、若い人が多い環境だということを知り、楽しそうだなと思って入社しました。

ただ、実は僕、1度浜崎海運に入社した後、転職していまして。今は戻っているのですが、その理由は、「浜崎海運は乗組員の意見をちゃんと聞いて、それを改善してくれている」ことに気づいたからです。船の雰囲気も良く、人間関係でストレスがないのが良いなと思い、戻ってきました。

―おかえりなさい!そのほかで、当社の良いところは何だと思いますか?

他のタンカー会社に比べて、圧倒的に仮バース(運ぶ荷物がなく、船を岸壁につけて休むこと)が多いところですね。そのほかだと、休暇が遅れずに自分のところに回ってくるところです。

そうですよね。転船も今はあまりないですし。転船というのは、例えば、第一崎陽丸(浜崎海運の船舶)に70日間乗船すると決まっていたにも関わらず、急な諸事情で第八崎陽丸に乗り換えることを言います。第一崎陽丸に居続けるつもりで乗り込んでいる中での転船は、移動も大変なので、船乗りにとってすごく大きな負担になるんです。

―転船させてしまうのは僕ら(マネジメントサイド)の失敗なので、なるべく起こらないように気を付けています。

写真:門崎、新田が話している様子

最近は第一崎陽丸ばかりなので、全然転船はないです!

では、次は新田さん。浜崎海運の良いところを教えてください。

(笑) そうですね、当社の方がみんなでワイワイする時間が多いかなと思います。

派遣で来ていただいている方からも、よく言われますね。では、門﨑さん。

(笑) 良いところは、「船内融和」です。みんなで飲食を共にしながらコミュニケーションをとっていて、浜崎海運は良い会社だなって思います。

デッキにいる人とエンジンルームにいる人が気軽に話すことって、ほかのところではあまりないですよね。

本当に明るい職場です。

―では逆に、仕事で1番大変だったことは、何ですか?

……

―あれ、今が1番きつい?

いえいえ(笑) もともとアスファルト船があるという理由で入社したので、白油船(ガソリン、灯油、軽油、ジェット燃料油などを運ぶタンカー)のときはしんどいこともありますね。それに、船の乗り出し(船をつくる際に、造船所で艤装工事の監督をして、そのまま乗船すること)はいつだって大変です。

チョッサーとしての仕事をしたことがあるのですが、様々なことをしないといけないので、大変でした。でも、周りが助けてくれたから乗り越えられたと思います。みんながフォローしてくれて、それでなんとか頑張れました。

僕はきつかったことが基本ないのですが、学校を卒業して、船に慣れるまでは大変でした。それでも、1カ月間乗船すれば、生活リズムとかにも慣れると思います。

夜通し整備をしてから荷役をしたときは、体力的に大変でした。

写真:4人が話している様子

―船での生活面については、どうですか?

起きて1秒で職場なのは良いところですね。

良いところでもあるし、悪いところでもある(笑)

たしかに(笑) 悪いところは、船の上なので、逃げ場がないことでしょうか。

衣食住が充実しているのは良いところだと思います。光熱費とか全く考えなくていいので。ただ、買い物など、気軽に外に出られないのは悪いところ……といっても、船乗りならしょうがないんですけどね。

でも、船は全国各地によく行くので、行った先で休みがあると、ちょっとした観光ができるのは良いところだと思います。それに、船で見る夕日は陸とは違うので、それには癒されますね。ただ、しけで寝られないときがあるのは、ちょっと嫌です。

みなさんに結構全部言われてしまいました(笑) 起きたら職場、それが1番です。あと、いろいろなところに行けるのも良いです。もう陸上での仕事はできないくらい、充実した船上生活を過ごしているかもしれません。

―船での食事はいかがですか?

写真:船内で握られた寿司

当社の社員を見てもらえればわかりますけど、すくすく育っていますから、美味しいことは間違いないと思います。

(笑)

食事は司厨士がつくってくれるのですが、1番美味しいのは寿司です。めっちゃ美味しいですね。船乗りの最大の楽しみは食事なので、ありがたいです。

メニューも多いと思います。

メニューになくても、リクエストすれば結構いろいろつくってもらえるのも嬉しいですね。

―長期休暇中は、何をしているのでしょう?

時間を忘れて釣りをしたりしています。

僕は結婚しているので、家族と旅行に行っています。平日に気兼ねなく行けるので、沖縄や宮崎とかに行っていますね。

映画を見ていますけど、最近はソロキャンプに興味が出てきました。

コロナ前だと、フェスやライブによく行っていました。関東まで遠征することもありましたね。最近は登山をしています。

写真:4人が笑っている様子

―では、やりがいや達成感を感じるのは、どんなときですか?

船から降りるときに感じます。乗る前の自分よりエンジンの知識・技術が向上したかどうかは、やっぱり気になるんです。「今回の乗船でいろいろ学べたな」みたいなことを思って降りていますね。

自分1人で、例えば大きな燃料噴射弁を整備できたときです。機関長に教えてもらったりして徐々にできるようになっていき、そして、いざ自分1人でできたときは「成長したな」と思います。

写真:黒瀬が話している様子

セコンド(セコンドオフィサー、二等航海士)に役職が上がり、「誰かに認めてもらったんだな」って理解したときは、「やっててよかった」「認めてもらえた」と、嬉しく思いました。

あとは、チョッサーの仕事を初めてやったときでしょうか。初めて自分で計算して荷役して、荷物を上げ終わって、出航して、船のブリッジ(高所に設けられた操船に関する指揮所)でタバコを吸ったときに、足がガクッときたんですよね。

―かっこいいね! 映画のワンシーンみたい。

すべてに緊張していましたから、なんか、もう全部抜けた感じです。みんなでやり遂げたという達成感がありました。

僕のやりがいは、自分の指示で油を積んで上げて、それによって、日本のエネルギー業界を支えていることです。達成感という意味では、毎回の乗船で無事に下船できれば、それでもう満足ですね。

―それが1番大事なことですからね。

馬場:(進行役)浜崎専務にとって、「船員としてのやりがい」は何なのか聞きたいです。

写真:浜崎が話している様子

そうですね……。
よくエッセンシャルワーカーとして日本を支えていると言われますけど、船員自身がいわゆる「大きなやりがい」を感じるのは正直難しいかもと思っています。なぜなら、僕たちは「奇跡を起こしてはいけない仕事」をしているからです。

僕たちの仕事は、加点方式ではなく減点方式だと思っています。「エンジンの故障がありましたが、なんとか直して動かしました!」となっても、「直したのはすごいけど、故障が起こる前に、しっかり予防しないといけないよね」と言わないといけません。野球だと3割バッターは高く評価されますけど、船乗りはミスをしてはいけないので、10割バッターでないといけないんです。

ミスをしないために毎日地道にコツコツとする仕事なので、やりがいを感じにくいかもしれません。当たり前のことが、本当はそのこと自体が奇跡で、すごいことをしている。もっと誇りに思ってほしいし、この座談会を通して、この仕事のやりがいを知っていただけると嬉しいですね。

なるほど。ありがとうございます。

写真:浜崎が話している様子

―最後に、将来の夢はありますか?
「浜崎海運をこうしていきたい!」といったこともあれば、ぜひ聞かせてください。

写真:黒瀬、門崎、新田が話している様子

「船乗り」という仕事の知名度を上げたいですね。「船乗りをしている」と人に言うと、大概「漁船?」と言われてしまい、「タンカー」がそもそも思い浮かばないみたいです。

休暇中に1人で飲みに行って、朝に家の前に着いたら、登校中の小学生から「おじちゃん、仕事してないの?」と言われたこともありました。毎回説明するのも正直めんどくさいのですが(笑)、そうなってしまった理由は、やはり船乗りの仕事が浸透していないからだと思うので、認知度の向上に努めたいです。

自分の将来の夢は、浜崎海運で知識と技術を学び、ほかの機関士に負けないようなエンジニアになることです。

僕は、浜崎海運の「船内融和」や「技術面」に関して、ほかの企業に負けないようにしたいですね。今の時点でも結構上だとは思っていて、船乗りの友達から話を聞いても、「浜崎海運ならできるのに」と思うことはたくさんあります。規模では難しいかもしれませんが、中身では絶対負けたくないです。

写真:馬場が話している様子

僕が締めですか(笑) 自分は一等航海士なので、夢大きく、船長になりたいです!

―どんな船長になりたいですか?

着桟(海上に設置した荷役用の桟橋に大型タンカーを着けること)が上手な船長になりたいですね。あと、父親が船長なので、それに負けないような、みんなを引っ張っていけるような船長になりたいです。

―久しぶりにみなさんとゆっくり話せて良かったです。ありがとうございました!

写真:4人が話している様子